本研究の目的は、新潟県内の高齢大腿骨頚部骨折患者を対象に、どのような退院指導が行われているかについて、医療施設と退院後の患者に対しアンケート調査をするとともに、退院後の患者のADLと患者が日常生活を送る中で困難と感じている事柄について訪問調査をすることで患者のニーズを明らかにし、患者が退院後円滑に日常生活に戻れるよう、より具体的且つ患者の個別性を踏まえた退院指導プログラムを開発することにある。 本研究の1年目では、対象を65歳以上の高齢大腿骨頚部骨折患者、地域を新潟県に限定し、高齢者における退院後の困難の特徴を明らかにするとともに、退院の時期や降雪の有無や程度、受傷前ADLや骨折側、認知症や同居家族の有無、などたよる違いについて調査し、高齢者をあらゆる視点から分析することで、どのような高齢者にどのような困難が生じるのか、その特徴を明らかするためのデータ収集を行うことを主とした。 研究方法は、郵送によるアンケート調査とし、アンケート用紙は患者が退院時に病棟看護師から渡してもらい回答してもらうこととした。また、アンケート回答欄に訪問調査に関する協力への意思確認欄を設け、訪問調査を実施することとした。その他、病棟看護師と外来看護師に対してもアンケート調査を実施し、どのような退院指導や退院後指導が行われているのか、退院後の外来受診時に患者からはどのような困難が聞かれているかについて調査を行った。 現在、アンケート集計を進めている最中であるが、患者アンケートの回収率が低く(N=36)目標値の100に達していないため、引き続き郵送を行いデータ数の確保に努めている。患者アンケートの回収率が低くなった原因としては、認知症の患者や施設からの入院と施設への退院が多かったこと、また高齢者世帯が多かったことなどが考えられた。今後は、アンケートの対象者や対象施設を拡大し、データ数の確保を図っていく。また、現時点では訪問調査への協力が得られておらず、今後はアプローチの方法を検討し、協力が得られた場合は訪問調査を実施していく予定である。
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