平成21年度研究目的: 家族アウトカムの設定、及び家族の経験の継続的分析を可能にするためのデータベースの構築、アウトカム達成のために行うべき介入の決定。 研究成果: 1.昨年度同様、家族アウトカムの全項目設定を目的とした調査研究を実施したが、データ分析の段階で理論的飽和化に至らず、負の中間アウトカムの同定には至らなかった。がん種によっては治療の発展などがめざましく、家族の経験の差異が生じていると考えられた。そのため、モデル開発において対象となる疾患を特定する必要性が示唆された。 2.具体的な介入方法の決定、バリアンス項目の設定を行うため、看護師への調査研究を実施した。その結果、進行がん患者の家族支援は、(1)患者や家族の希望の暫定的な焦点化、(2)患者や家族の希望を見定めながら行う実現に向けたケアからなり、その影響要因として、(1)看護師自身が抱える療養者や家族の希望を支えることの意義、(2)患者や家族の発達課題と死生観が明らかにされた。また、既存のがん患者の家族を対象とした介入研究を対象としてシステマティックレビューを行った結果、I can copeなどのサポートグループをベースとした支援、インターネットによる介入などの検証がなされており、一定の効果を得ていることが明らかとなった。 以上の結果から、バリアンス項目は(1)看護師自身が抱える療養者や家族の希望を支えることの意義、(2)患者や家族の発達課題と死生観と設定できたが、アウトカムやケア実践標準の原案の開発には至らなかった。次年度は、本年度に残された課題を達成し、モデルの信頼性と妥当性を検証することとする。
|