平成22年度研究目的: (1)家族アウトカムの設定、及び家族の経験の継続的分析を可能にするデータベース構築のための追加調査 (2)アウトカム達成のために行うべき介入モデルの開発と検証 研究の成果: 目的(1)については、対象者不足のため家族アウトカムの設定には至らなかった。しかしながら、家族の経験の継続的分析を可能にするデータベースの要素としては、追加調査研究により【患者が難治性のがんに侵されている現実(病状や治療に関する事項)に対する認知】【迫りくる患者の死(予測される予後や起こりうる急変に関する事項)に対する認知】【拭い去れない患者の苦痛(身体的・心理的苦痛に関する原因や対処方法の知識、及びそれらのセルフケアに伴うニーズ、セルフケアの結果に対する思いなどに関する事項)に対する認知】【がん患者の家族であるが故に生じる家族システム内の不調和(患者以外の家族成員の変化や代理意思決定に関する事項)の有無】【家族成員の社会生活圏における孤独感(ソーシャルサポートの量や質に関する事項)の有無】であることが明らかとなった。また目的(2)については、暫定的な介入モデルを提示し、効果検証研究のための調整を医療関係者に対して行った。 以上の結果から、今後は(1)アウトカム設定のための追加調査を早急に行い、暫定的な介入モデルの見直しを行うこと、(2)介入効果を明らかにするための研究を実施することに取り組んでいくことが必要であると考えられた。
|