本研究では、がん体験者が伴走するWeb版乳がん患者サポートグループの円滑な運用に向けて必須となる情報コンテンツ、および運用方法、および関連要因を明確化し、がん体験者が伴走するWeb版乳がん患者サポートグループを開発し、そのパイロット的な運用のプロセスアウトカムを評価することを目的としている。今年度は、現在研究者がファシリテーターを行っている乳がん女性のためのサポートプログラムの参加者を対象とし、Web版乳がん患者サポートグループに対するビジョン、目的、内容、方法を明確にするためのヒアリング調査第2回目をフォーカスグループインタビュー法にて実施した。 第2回目も第1回目と同じ研究協力者がインタビューに参加した(計6名)。得られたデータから逐語録を作成しWeb版乳がん患者サポートグループに期待する内容と課題に関する内容を抽出し類似性のあるものに分類しカテゴリー化した。インターネットによるサポートグループ実施に期待する内容は『個別のニーズに合わせた情報リテラシーへの支援』『対面ではうまく言い表せない心情の受け止め』『治療の副作用への対処や生活の工夫へのアドバイス』などをあげ、次の受診を待つ問に沸いてくる疑問や課題に先輩体験者の力を借りて主体的に取り組むための支援を求めていた。課題として『匿名によるやりとりの怖さ』と『匿名だから本音で語れる』相反する特徴が存在し『管理体制の整備』のあり方を検討する必要性と『できる支援とできない支援の見極め』、『先輩体験者と看護師の役割の明確化』の必要性などがあげられた。また、研究協力者らは、治療初期にインターネットの膨大な情報の整理と信頼のおける安全な情報へのアクセスに時間と労力をかけ、顔の見えない相手とのコミュニケーションに戸惑う体験から、信頼と安心と安全の保障された双方向の支援を期待していた。今後は、安心して効率よく利用できる工夫を見出す必要性が示唆された。 次年度はこの結果と文献検討の結果を合わせ、がん体験者が伴走するWeb版乳がん患者サポートグループの開発を行いつつ、伴走する体験者の募集および具体的な教育プログラムを作成し実施しパイロット運用することを目指す。 開発に当たっては乳がん体験者をメンバーに入れた意見交換の機会を持つことを予定している。
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