【目的】本研究は、がん体験者が伴走するWeb版乳がん患者サポートグループの円滑な運用に向けて必須となる情報コンテンツ、および運用方法、および関連要因を明らかにしがん体験者が伴走するWeb版乳がん患者サポートグループを開発することを目的とした。【研究方法】平成22年度は、既存のWeb版乳がんサポートグループの検索を行いその特徴を明らかにし、平成20~21年度に実施した乳がん体験者へのヒアリング調査結果も踏まえ『乳がん女性のためのオンラインサポート-Hope Tomorrow-』を開発した。【結果と考察】Google検索によりヒットした上位100件の中から該当するサイトのコミュニティスタイル、内容、運営体制を分析した。わが国では、患者個人ブログ、SNSを利用した乳がん患者コミュニティが多数存在するが仲間同士の閉ざされたスタイルが特徴的であった。英語圏では、がん医療施設やがん患者団体による運営、掲示板は誰もが閲覧可能、医療情報やケア・コミュニティへのアクセス情報掲載など実在する組織とつながるオープンなスタイルが特徴的であった。これらの結果をもとに乳がんに対する疑問や思いを体験者に相談したり共に話し合えるコミュニティサイト『乳がん女性のためのオンラインサポート-Hope Tomorrow-』を開発した。乳がん体験者は『対面ではうまく言い表せない心情の受け止め』をWeb版サポートグループに期待する一方、『匿名によるやりとりの怖さ』を懸念していたことから参加者のみが閲覧・書き込みができるシステムとし、利用者と伴走する先輩患者向けのガイドを掲載した。このサイトの活用が活発になれば先輩が新人患者を支援する知恵の蓄積がなされ、ナラティブな情報の発信源として機能することもできるだろう。今後は、わが国の乳がん患者がいつでもどこにいても利用できるよう洗練させ、評価指標を検討し効果の検証を行う必要がある。
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