本研究の目的は、抗がん剤の臨床試験に参加する外来患者が、自ら症状の変化や関心事項を記載する「セルフ・アセスメントノート」の考案・開発である。今年度実施の成果:1.前年度から引き続き、「セルフ・アセスメントノート」が患者にとって有効かつ活用されるための基礎的資料として、外来で臨床試験に参加している患者がどのようなニーズを持っているのかを調査した。実施施設に対象となる患者が少なかったため、1施設増やして調査を継続し、同意を取得した対象者16名にインタビューを実施した。その結果、「副作用を乗り切るための自己の症状パターンの把握」、「副作用で困った時に自宅で対処できる術」、「自宅で副作用に対処することへの困難」、「医療者に自分から伝えにくい環境」、「患者の気持ちに配慮した医療者の対応」、「検査結果の意味を読み取る知識の不足」、「自分が受けている臨床試験の情報」等のニーズが明らかとなった。「セルフ・アセスメントノート」の考案に際しては、患者が症状の出現と回復パターンに気づきやすいような視覚的工夫と医療者は記載された内容を確認し、患者ヘフィードバックすること、患者の関心事項に医療者は配慮すること、検査データを提供するだけではなくその意味を読み取れるような情報提供を行うことを含めることが考えられた。2.国際がん看護カンファレンス(米国)において、新規抗悪性腫瘍薬に多くみられる有害事象へのアセスメント方法や標準化されたがん化学療法教育プログラムの開発などの発表に参加し、新規抗悪性腫瘍薬を用いた治療への看護を早期に確立していくことが重要であるとわかった。3.前年度に行った文献調査および収集した資料、外来患者のニーズ調査の結果を検討し、「セルフ・アセスメントノート」の原案を作成した。4.「セルフ・アセスメントノート」のプレテスト及び適用調査に向けて研究計画を立案し実施に向けた準備をしている。
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