本研究は、発症から約1年以内の早期RA患者が辿る心理過程と自己管理行動に影響を与える要因を分析することにより、早期RA患者への効果的な患者指導・教育の方法を見出すことを目的としている。 平成22年度は、発症1年未満の早期RA患者を対象に半構成的面接を実施した。面接内容は録音し、逐語録を作成した。逐語録の内容を質的帰納的に分析し、早期RA患者の心理状態及び自己管理行動を決定づける要因と阻害する要因、医療従事者(特に看護師)に求める内容について抽出した。その結果、早期RA患者は、発症後は不安感が強く、複雑な心理状態を辿っており、自己管理の方法がわからないことや医療従事者に対して療養方法に関する情報提供など多くの支援を求めていることが明らかになった。 これらの分析結果をもとに、外来でRA患者の看護に携わっている看護師を対象に、患者指導・教育の実態及び認識に関する質問紙調査を実施した。全国のリウマチ科標榜のある医療機関(病院・診療所)から無作為に500施設を抽出し、そのうち承諾の得られた55施設の外来看護師計248名を対象に質問紙を配布した。回収数186(回収率75.0%)。結果、外来看護師は、早期RA患者への指導・教育の必要性は理解していても時間的余裕がないことや人・場所不足の問題があること、患者指導・教育について他職種(医師・理学療法士・作業療法士・薬剤師・栄養士など)とは情報交換や連携が少ないことが明らかとなった。また、指導項目では、リハビリテーション、安静、自助具、医療費、就労、妊娠などについてはほとんど指導していない実態が明らかとなった。今回の調査から、早期RA患者の不安の軽減及び自己管理行動の遂行を支援できるよう効果的な指導・教育方法の確立、外来看護師への研修会などの開催の必要性が示唆された。今後さらにこれらの実施に向けて検討を重ねていきたい。
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