研究概要 |
平成21年度は、研究協力施設との調整を行い、合計7施設に対し、質問紙配布を依頼し本調査の実施、質問紙の回収とともに分析を行った。最終的な分析対象者は185名(初産婦109名、経産婦76名)で、平均入院日数は、18.7±14.7日であった。質問紙の分析の結果、妊娠の受けとめでは肯定的受けとめとして8カテゴリ、両価的受けとめとして4カテゴリ、否定的受けとめとして5カテゴリの計17カテゴリ、入院生活の肯定的体験では10カテゴリが認められた。心理社会的適応状態では、妊娠の受容と出産への準備に関して、先行研究[岡山高橋,2002]のローリスク妊婦よりも適応状態が有意に低く(p<0.05-0.01)、夫との関係に関しては、適応状態が有意に高く(p<0.05)、有意な差は認められなかったものの、母親役割の同一化に関しても、適応状態が高い傾向(p=0.05)が認められた。また、状態不安得点は、先行研究における標準的な女子大生[肥田野,福原,岩脇,曽我,Spielberger, 2000]よりも有意に高い得点(p<0.01)となった。健康関連QOLにおいては、一般的な女性と比較し、GHを除く、BP、VT、SF、RE、MHの下位尺度について有意に低い得点(p<0.01)であった。以上より、妊婦がより快適な入院生活を送れる看護介入プログラムの開発が望まれる。 インタビューデータに関しては、他の研究者より提供を受けた長期安静入院妊婦の体験を記述したデータとともに分析を行い、国内学会にて発表。また、国際看護師学会(ICN,南アフリカ)に参加し、研究成果の一部を発表、海外の研究者との意見交換を行う。国内では、日本母性看護学会、日本母性衛生学会、日本看護科学学会に参加・関連研究成果の発表と、専門家との意見交換、最新情報の収集を行った。
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