研究概要 |
父親の育児は、社会的に関心が高まり、多くの文献において育児参加の必要性が論じられている。しかし、現在父親への援助や育児への視点は母親から捉えられたものであり、父親がどのような育児観を持ち育児しているか、また育児観と育児不安や育児ストレスとの関連が不明な状況である。このため本研究では、父親の育児観を明らかにすること、また父親の育児観と育児ストレスや虐待における因子との関連を明らかにすることの2つを目的としている。 平成20年度はこのうち父親の育児観を明らかにすることを目的にし、A保健センターの子どもの乳児健診や予防接種のために来所された父親12名を対象に半構成的面接を実施した。面接は、「あなたのお父さんをどのようにイメージしていますか。」、「どのようなお父さんになりたいですか。」、「お子さんに対して、どのようなお世話をされていますか。」、「お子さんに社会のルールをどのように教えていきたいですか。」、「奥様に対して、どのようなことをされていますか。」と問いかけ自由に語って頂いた。その後、語って頂いた内容はBerelson, Bの内容分析の言及事項分析に基づき、質的因子探索を実施した。その結果、父親の育児観として3つの分類が得られた。その分類とは、子どもに対する思い、母親に対する思い、両親で考えを1つにして子どもに関わろうとする思いの3つであった。しかし、特定の地域のみで得たこの結果は、対象者の労働時間や子育てに対する価値観に地域差があると報告があるため、一般化するには限界があると考える。 このため、今後は調査地域の拡大や研究対象者を増やし調査することにより、乳児をもつ父親の育児観を一般化できるように取り組んでいきたい。
|