研究概要 |
父親の育児は、社会的に関心が高まり、多くの文献において育児参加の必要性が論じられている。しかし、現在父親への援助や育児への視点は母親から捉えられたものであり、父親がどのような育児観を持ち育児しているか、また育児観と育児不安や育児ストレスとの関連が不明な状況である。このため本研究では、父親の育児観を明らかにすることを目的としている。 平成22年度は、全国2ヶ所の保健センターの子どもの乳児健診や予防接種のために来所された父親26名を対象に半構成的面接を実施した。 平成20年間からの3年間で全国11ケ所かつ父親48名を対象とした。その結果、乳児をもつ父親の育児観として1,355記録単位が抽出され、64コード、21サブカテゴリーが作成された。最終的に、乳児をもつ父親の育児観となるカテゴリーは、(1)【子どもとは、生活のリズムの中で触れ合う時間を増やし、自己表現を受け止めながら、成長を見逃さないように、一緒に成長したいという思い】、(2)【自分の父親のように、仕事・子育てにかかわりたいという思い】、(3)【子育てにより、今まで気づかなかったことを理解でき、父親として成長していきたいという思い】、(4)【母親の大変さを理解し、コミュニケーション・援助・リフレッシュをさせたいという母親への思い】、(5)【父親の代わりはいないため、家庭を優先し、夫婦が平等にかつ同じ価値観で一緒に子育てしたいという思い】の5つが作成された。今後、父親の支援に関して母親の概念ではなく、今回得られた父親独自の視点によって構築された育児観によって検討される必要性があると考える。
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