本研究は、1)産褥早期の母親の出産体験におけるコントロール感覚と出産体験の意味づけの内容を明らかにする、2)産後1ヶ月の母親が出産体験を通して感じている自己成長の内容を明らかにする、3)産褥早期の母親の出産体験におけるコントロール感覚と、母親が感じている自己成長との関連を明らかにすることを目的としている。平成22年度は、産褥早期の母親の出産体験の自己評価とコントロール感覚、自己概念との関連を明らかにすることを目的として量的調査をおこなった。調査に先立ち、倫理的配慮について群馬大学医学倫理委員会の審査を受け承認を得た。大学病院、総合病院、産院の計6施設において、経膣分娩をした産褥早期の母親289名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。質問紙の構成は、出産体験の自己評価尺度、出産体験の満足度、産褥早期の母親の自己成長尺度、日本版Health Locus of Control尺度、自尊感情尺度、一般性セルフ・エフィカシー尺度、個人的な背景因子を問うフェイスシートであった。対象者へは質問紙に添付した文書によって研究協力依頼の説明を行い、回収箱への質問紙の提出をもって同意を得られたものとした。質問紙の回収は224部であり、回答に欠損があった31部を除外し、193名分(有効回答率66.8%)を分析対象とした。 現在、統計ソフトSPSS ver.18を使用し、各尺度の得点を集計、記述統計、クロス集計、相関分析、多次元分析を進めている。
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