研究概要 |
1.データの整理:(1)参加観察法による新生児の行動データ:出生直後の新生児の行動評価のスケールと成り得る反応・要素について抽出するため,出生直後の早期母子接触の場面において,参加観察法を用いてデータ収集をおこなった。その結果,新生児の行動として,『母親と接触している間は啼泣がみられない』『母親と目線を合わせようという動き』『落ち着きとモゾモゾとした活動を繰り返す』などがみられた。また,その新生児に対する母親の反応として,『児に触れるというより包み込むような仕草』『児の反応を見逃さないようにずっと見つめる』という見守りのような行動がみられた。(2)母親のインタビューデータ:出生直後の新生児の行動データを母親とともに視聴し,その際の思いや感情を語ってもらった。その結果,「とても温かく感じた」「かわいいと思った」「児が生きている実感がわいた」「お腹の中での発育を思い出した」「この上ない喜びを感じた」「安心感をおぼえた」というデータが得られた。新生児の行動の意味や解釈といった内容というよりも,無事に出産を終えたという実感や安心感といった内容のデータが多かった。母親の児への愛着形成については示されたものの,出生直後の段階では今後の育児に向けての自己効力感に至るような結果は得られなかった。 2.分析結果:新生児の行動データを既存の評価スケールを参考にし,カテゴリーに分類しながら評価視点を再考し分析していったがパターンが多様であり,新生児の行動評価スケールを一般化に向けて作成するには出産背景や新生児の生体反応などのデータを組み合わせ,様々な状況下でのデータ収集をしていく必要があるという結果を得た。 3.今後の課題:スケールの項目や信頼性・妥当性を高めるためにも,さらにデータを積み重ねていくことが課題である。
|