小児がんと診断を受け集学的治療が施行され、長期生存が望める時代となってきた近年、治療終了後も成長期にある子どもたちには、晩期障害を含む様々な問題が生じている。そのため、子どもの生命だけではなく、人生の質をも向上させるために、長期的なフォローアップが必要となる。国立病院機構名古屋医療センターの小児科長期フォローアップ外来では産婦人科医師も診療に参加している(日本で唯一)。そこで、乳幼児期から青年期に罹患した小児がんの治療後の患者及び家族(保護者)に対して、妊娠・出産への不安・生殖補助医療に対する意識をアンケート調査し、当該患者と家族が求めている情報やサポートと、その意識の差異も明らかになった。その結果を、小児科及び産科婦人科に携わる人々に意識を高めてもらうために、日本小児がん学会、日本産科婦人科学会、日本受精着床学会、アジア・オセアニア産科婦人科学会で発表し、反響を得た。引き続き、京大附属病院小児科においてのアンケート調査を続行し、より多くの当該患者自身の声を収集し、同時に情報提供を進めていく予定である。 また、ハンガリー、オランダでの小児がん看護研修に参加し、諸外国でのホスピタル・プレイや入院環境、入院中及び退院後の様々なフォローアップの情報を収集した。 小児がんの子どもおよび経験者自身の意識とニーズの調査、ならびに家族への意識調査を行い、当該患者の今後のケアのあり方を考案し、適切な時期に情報提供を行えるよう、サポート環境を整えることが急務である。
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