本研究課題の目的は、小児がんが病児の同胞のQOLにおよぼす影響の有り様とその要因を同胞の家族の有り様と、家族との関係性に焦点をあてて明らかにすることである。本年度では、まず、同胞の家族の有り様として、入院病児のQOLと家族の付き添い・面会に関する質問紙調査を行った。小児がんを含む様々な疾患の病児(3〜12歳)とその家族を対象にした。質問項目は、Pediatric Quality of Life Inventory4.0日本語版(PedsQL-J)、家族の付き添い・面会状況、入院生活状況、属性とした。これによって家族の付き添い・面会と病児のQOLの関連についてのデータを得た。 次に、わが国における小児がんの同胞に関する文献検討を行った。その結果、29本の文献が見いだされ、医学的論文20本、心理社会的問題に関する論文9本に分類された。医学的論文では、同胞は骨髄提供者として取り上げられていた。心理社会的問題に関する論文から明らかになった同胞への影響は、「親が認識する同胞に生じた問題」「親の同胞への対応に関する問題」「同胞の成長」「不安・ストレス」「不適応」「他の家族員との関係性の問題」で、1本の論文で要因としての「小児がんの子どもの病気への理解度」が示されていた。この文献検討により、同胞個人の問題とともに、同胞を取り巻く家族などとの関係性を含めた検討が重要になることが確認された。 そこで、同胞と家族との関係性を明らかにする目的で、同胞とその家族を対象とした面接調査を実施した。来年度は、この同胞とその家族への面接調査を継続し、同胞を取り巻く家族と同胞と家族との関係性を明らかにしながら、小児がんが同胞におよぼす影響とその要因を検討することを計画している。
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