研究概要 |
昨年度に行った「小児がん入院病児のQOLと家族の付き添い・面会との関連」及び「わが国おける小児がんの同胞に関する文献検討」をまとめ,学会発表を行った.さらに,同胞の家族環境の調査とし,全国の小児科併設の病床数100以上の病院を対象に,家族の付き添い及び面会・同胞の面会状況に関する質問紙調査を行った.792施設から回答を得,家族の付き添いについては「原則として一律付き添い」269施設,「希望により付き添い可」215施設,「条件によって許可する」128施設,「一律許可しない」14施設という結果を得た.また,同胞の面会については168施設が「原則として許可しない」としており,「条件によっては許可する」が246施設,「許可する」は201施設であった. また,小児がんが同胞とその家族に及ぼす影響とその要因探索を明らかにすることを目的とし,A県1病院で外来通院中の小児がん病児の同胞とその家族を対象に量的(質問紙)調査および質的(面接)調査を行った.量的調査の質問項目は,同胞のQOL・家族機能・ソーシャルサポート・小児がん病児の病気に対する認知状態で,17名の同胞とその両親20名から回答を得た.PedsQLを用いた同胞のQOLは平均87.2で,健康児のQOLとほぼ同等な値を示した.小児がん病児の入院期間の長さは同胞のQOLと関連しており,小児がん病児の入院期間が長いほど同胞のQOLは低下していた.FACESKGを用いた家族機能では,76.5%の同胞が家族の"かじとり"を「てんやわんや」であるとし,"きずな"を「ベッタリ」とした同胞はいなかった.病児の病気については,3名の同胞が病名を告知されており,そのすべて急性リンパ性白血病であった.質的調査では,3家族8名への面接を行った.全ての家族で同胞が一時的または小児がん病児の入院中,入院前の家族との別居を経験していた.
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