本研究は、中国人女性と国際結婚をした日本人男性、およびその両親の体験の様相を把握し、中国人女性と日本人家族の双方に効果的な家族関係構築に向けた看護支援を検討することを目的としている。今年度は日本人男性と国際結婚をした外国人女性が、結婚後早い時期に妊娠・出産を経験するという特徴に着目し、第1子妊娠・出産時の外国人女性ならびに日本人家族がとらえる家族内の人間関係の現状、思いや関係構築の体験を把握することを目的とする調査の実施ならびに分析を行った。外国人女性のなかでも近年、外国人登録者数や日本での出産数の増加が顕著である中国人女性に着目し、彼女とその夫である日本人男性に対する調査の分析をすすめた。その結果、妊娠・出産・育児期における夫婦関係の構築にあたっては「2つの文化的世界の保持」に向けた知恵に根ざしたさまざまな行動を起こしていることが明らかとなった。その具体的な行動は「長期的視点でとらえる結婚生活」、「異文化者であることへの承認」、「意思の伝達」、「できることの見出しと実践」および「生活の中での楽しみの創出」の5つに分けられた。この他、フィリピン人女性など国籍が異なる者や留学生など在留資格の違う者への調査は継続中であり、次年度はその調査の実施と分析を行い、国籍や在留資格の異なりを比較し、中国人女性への支援の特性を把握する予定である。そして中国人女性と日本人家族の双方に効果的な家族関係構築に向けた看護支援を明確にし、看護者の役割を考察することとする。
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