【目的】死産、新生児死亡体験後の父親の「次の妊娠」における妊娠・出産体験を記述する。【対象と方法】研究デザインは、質的記述的研究である。父親2名を対象に、半構成的面接法によりデータを収集。父親の気持ち及び体験に焦点を当てて該当する文脈を抽出し、質的記述的に分析した。調査期間は2012年2月。尚、本調査は岩手県立大学研究倫理審査委員会の承認を得た計画書に基づき実施した。【結果及び考察】次子妊娠については、母親の気持ちを一番に尊重し、夫婦で話し合いながら妊娠のタイミングを見計らっていた。そして、妊娠発覚後は、母親のお腹の膨らみ・胎動から我が子の成長を感じることで気持ちを安定させていた。父親は次子妊娠・出産に関して不安を抱いていたが、それを自ら第三者や母親に語ることは望まず、仕事に集中することで自身の不安と向き合わないようにしていた。その不安は次子が誕生し一度軽減したが、予期せぬことで子どもを失うのではないかという不安はその後も継続していた。父親は亡くした子を含めた家族と認識しており、機会がある毎にその存在を次子に伝えていた。そして、亡くした子が遺したメッセージを自らに問い続けていた。父親が受けたかったケアとしては、医療者に母親を精神・身体的に支えてもらうことが自身の心身の安定にも繋がると考え、正しい情報は求めていたものの、自身への直接的なケアは望んでいなかった。今後の看護支援め方向性としては(1)看護職が次子妊娠・出産時の父親の心理プロセスを理解する場を設ける、(2)次子妊娠・出産に臨む家族の継続ケア体制の構築、が必要である。
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