【本研究の意義】 本研究では、育児に関する知識を盛り込んだ孫育て手帳を開発していく。祖父母が孫育てを担っていくにあたり、手帳を活用していくことで祖父母の不安の解消を図るとともに、現代の育児に関する知識について、子どもの母親と祖父母が共通認識のもと、孫育てをしていくことができる。 【今年度の研究内容】 岩手県内の産婦人科医院あるいは保健センター、各2施設に健診の目的で来訪した母親に対して、本調査は孫育て手帳の開発について祖父母のニーズを把握することを目的としており、身近に祖父母が住んでいる場合には質問紙を渡して頂きたい旨、文書を用いて個別に行った。研究協力はあくまでも任意であり、質問紙に切手を添付した封筒をつけ、郵送をもって同意を得ることとした。質問紙の内容は、孫育てに関する知識について現存する母子手帳の内容をもとにし、孫育て手帳の利用希望度等を加え、独自に作成した 573部配布し、216名から回答が得られ、回答率は37.7%であった。孫育て手帳の利用希望者は188名(87%)と非常に高く、手帳に盛り込んでほしい内容としては"子どもの注意したい身体の症状"が201名(93%)ともっとも多く、次いで"乳幼児突然死症候群の予防"、"乳幼児の安全"であつた。乳幼児期の知識に関する希望が多く、妊娠期の知識については全体として少なかった。就学前の孫がいる祖父母は159名(73.6%)と大半を占めていたが、孫と同居している者は53名(24.5%)と少ない結果であった。孫育てにあたり、事前に育児に関する学習をしていた祖父母は31名(14.4%)と少なく、その中で子どもの母親と育児について考え方の相違があった者は80名(37%)であった。 次年度は今回の結果をさらに精査し、孫育て手帳の素案を作成、評価を行っていく。
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