学童期の注意欠陥多動性障害(ADHD)児を持つ母親におけるマターナルアタッチメント形成プロセスの特徴について検討した。12人の母親に半構造化面接を実施し、子どもの行動と養育について母親自身の情動体験を含めて聞き取りを行った。問題行動に直面するとネガティブな感情が生起し養育態度も厳格になりがちであったが、その一方で可愛いと思える様子の時にはポジティブな気持ちとなっていたように、アンビバレントな状態が特徴的であった。マターナルアタッチメントの状態は、学校生活が開始されると悪化していたが、診断後は問題行動の認識の仕方や養育態度に変化が見られ、良好な状態を示すようになった。
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