2009年4月から研究協力者の選定・依頼準備、質問紙作成を行い、8月に福岡県立大学研究倫理委員会の承認を受け、10月から12月の期間、A県内で研究への協力が得られた13施設(周産期母子センター、産科を持つ病院・診療所、助産所)に勤務する助産師・看護師100名を対象とし、76名から回答を得た。 その結果、子どもを喪失した親への死別ケア経験者は81.6%であったが、父親へのケア経験者は61.8%であった。看護者が実践している死別ケアの頻度として高かった項目は「子どもと過ごせる環境を整える」「子どもを抱くように勧める」「感情を表出できるように関わる・質問しやすいように配慮する」などであった。しかし父親へケアを提供する際に難しいと感じた内容として「父親への声かけのタイミング」「父親が感情を表出できているのか不明」が多く挙げられた。また看護者自身「父親とのコミュニケーション不足」「父親への配慮不足」など自らの技術や配慮の不足がケアや支援の困難さを招き、さらに看護者の父親へのケアに対する意識の低さが実際の支援に影響していることが明らかになった。看護者が父親へ提供するケア・支援の改善策として、(1)直接ケア(父親と接する時間を作る、父親の言葉を傾聴する、コミュニケーションを図る)、(2)間接ケア(他職種や地域との連携)、(3)知識・技術の研鑽(グリーフケアに関する自己学習、父親の心理を知る、カンファレンスや学習会の実施)の3つが挙げられた。この研究結果より、子どもを喪失した父親に提供されている支援の実態と看護者の抱える問題点が明らかとなり、それを解決に導くことで新たな父親へのケアや支援へとつながることが示唆された。 本研究結果と平成20年度に実施した「子どもを喪失した父親の体験」研究結果を元に、平成22年度は看護者が子どもを喪失した父親へ提供するケアモデルの構築を目標とする。
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