2010年4月から研究協力者の選定・依頼、インタビューガイド作成等準備を行い、11月に福岡県立大学研究倫理委員会の承認を受け、1月から3月の期間、A県内で研究への協力が得られた子どもを喪失した夫婦へのケアに携わった経験を持つ助産師を対象に半構成的インタビューを行い、事例ごとの逐語データを分析した。 その結果、看護者が子どもを喪失した夫婦にケアや支援を提供する際に感じる悩みや困難さとして【家族の反応に戸惑う】【家族への寄り添い】【病院の体制】【自己を内省する】の4つのカテゴリーに分類された。また看護者のグリーフケアへの学習ニーズとして(1)グリーフケア、悲嘆の受容過程(2)具体的なケア・支援方法(3)エンゼルケア(4)自助グループ(5)体験者の話を聴く(6)医療者のケア(7)カウンセリング技術、心のケア方法(8)家族と看護者・医療者が互いに話せる場の8つが挙げられた。看護者の経験年数によって求める内容に相違がみられたが、多くの看護者は子どもを喪失した夫婦とのかかわりに困難さを感じていることが明らかとなった。 以上より、看護者が死産や新生児死亡に遭遇するのは突然であり、経験する回数も多くない場面であるため看護者自身が戸惑いを感じていた。しかし看護者は混乱する気持ちを抱きながらも夫婦の思いに寄り添う努力をする一方で病院の体制や看護者間での葛藤も抱えており、気持ちの整理を行うことができず深く傷ついていた。そこで看護者の抱くグリーフケアへの困難感を軽減するためにニーズに合った学習会を開催するとともに看護者自身の気持ちを整理する機会や傷ついた心を癒すケアを提供することの重要性が示唆された。
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