研究概要 |
本研究に先立って実施したインタビュー調査結果から、夫・医療者を除く他者からのPositive social interaction(PSI)およびNegative social interaction(NSI)について質的に分析・整理し公表した。夫とのPSIについても同様に分析整理し、関連学会で発表し、現在投稿中である。 不妊女性の精神的健康への影響が推測される対人関係の質に関する尺度を作成するため、上記の結果に加え、不妊症患者の人間関係を探索的に解明した先行研究、2名の不妊女性へのインタビュー結果、社会学分野での関連論文を検討し、PSIおよびNSIにどのような要素があるのか検討を行った。夫・医療者を除く他者のNSIには、子どもや治療に関する詮索・干渉、不適切な支援、無神経な言動、不妊や治療への偏見、悲観、非難、距離をとる、子どもを作ることへの圧力、楽観的励ましが見出された。しかしこれらの要素のうち、実親、義理親、友人その他のいずれかに特有のものが存在した。したがって、他者をひとくくりに捉えるよりも実親、義理親、友人その他に分類し、尺度を作成することが妥当と考えられた。夫との関係性は、主として治療への協同的参加、精神的支援、物質的支援の3つの要素に左右されると考えられた。 現在は、これらの要素を参考に夫・実親・義親・友人その他・医療者の5つのソース別に作成したPSI,NSIのアイテムプールをもとに質問項目を作成中である。今後は、それら質問項目の妥当性・信頼性を検討するためのパイロットスタディを実施後、対人関係性の質が不妊女性の精神的健康に及ぼす影響を多面的に解明するための本調査を実施する予定である。
|