研究概要 |
平成21年度は、産褥4日目から産後6カ月までの分娩に起因した褥婦の心的外傷後ストレス反応(Posttraumatic Stress Reaction : PTSR)の推移とその関連因子を明らかにするために、郵送法による縦断的質問紙調査を実施した。以下、現時点で分析終了している産褥4日目と1カ月後の変化を報告する。 回収結果は、初回調査票は配布数520部、回収数497部(回収率95.6%)、2回目は回収数394部(75.8%)、3回目は回収数347部(66.7%)であった。3時点ともにデータが揃った者を分析対象とした。産褥4日目に、分娩時になんらかのトラウマ体験が「あった」と回答した者は256名(73.6%)で、分娩形式によって内容に特徴があった。産褥4日と産褥1ヶ月のIES-Rの平均は、トラウマあり群は順に10.65±11.82、8.38±10.79、トラウマなし群は4.70±6.70、4.26±7.41で、両群で有意に減少していた(順にp<.0001,p<.01)。産褥1ヶ月でのカットオフ値(25点)以上は、トラウマあり群は26名(10.2%)、トラウマなし群は3名(3.4%)であり、トラウマあり群では1割がPTSD移行のハイリスクと考えられた。 以上から、分娩に起因したPTSRは産褥早期に軽減傾向であったが、トラウマ体験があった褥婦は継続した観察が必要であることが示唆された。今後、初経産別や分娩形式別のPTSRの変化を検討し、産後6カ月までの推移を分析する予定である。
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