研究概要 |
本研究は,Group B Streptococcus(B群溶血性レンサ球菌;GBS)による新生児GBS感染症予防のために,新生児GBS感染症の発症要因および医療連携上の課題を明らかにすること,新生児敗血症髄膜炎発症GBS株と非発症株の異同を明らかにすることを目的とした. 平成21年度迄に,早発型GBS感染症児とその母33組の収集ができた.平均在胎週数38.3週,平均出生体重2,833g,GBSスクリーニング実施13名,時期は妊娠35週未満6名,結果は陰性10名であった.児の発症は日齢0が28名,初発症状は呼吸障害が多く,敗血症14名,髄膜炎5名であった.新生児搬送は30名で,午前0時の症状の有無別は,発症から依頼迄の平均時間は症状有vs症状無:15.9時間vs 3.5時間,発症から入院迄は17.5時間vs 4.8時間で,症状有の方が時間を要していた(p<0.01).夜間に発症しながら翌朝に搬送依頼されていることが伺え夜間も含めた新生児搬送システムの構築が必要と考えられた. 新生児血液髄液由来14株(発症株),新生児保菌55株,妊婦保菌198株の収集ができ,薬剤感受性と血清型別を実施した.MICはpenicillin≦0.03~0.06(μg/mL),ampicillin≦0.06~0.12(μg/mL)と感受性があった.2008年にガイドライン^<1)>が出されたのをうけ,1999~2007年(1期)と2008~2009年(II期)の2群に分け,MIC_<50>,MIC_<90>,耐性率を比較したが同等であった.発症株14株の血清型は,III型6株,Ia型4株,抗血清法と比較したPCR法の感度は100~147%であった.スクリーニング実施と抗菌薬予防投与はGBS感染症発症予防に寄与できると推察された.1)日産婦学会他編;産婦人科診療ガイドライン,2008;148-50
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