妊娠期は、できるだけ医薬品の使用を避けたい時期であり、また心身ともにリラックスして過ごしたい時期である。アロマセラピーはストレス緩和の効果が期待されるとともに、妊婦が自宅で行うことができる利便性もある。そこで、本研究ではアロマセラピーのセルフケアによる短期的および長期的な効果を測定した。 対象は、病院の産婦人科外来で妊婦健康診断を受診している妊婦のうち、妊娠経過が順調な単体妊娠の妊娠26週の妊婦とした。研究デザインはランダム化比較試験で、妊娠26週の時点でエントリーし、封筒法によりアロマセラピー群とコントロール群に振り分けた。アロマセラピーの介入は28週から行い、効果の判定は、妊娠32週と36週および分娩時に行った。研究期間中に20名の妊婦がエントリーの対象となり、そのうちの16名から調査の協力を得た。ランダムに振り分けた結果、9名がアロマセラピー群、7名がコントロール群となった。精油は、酢酸リナリルおよびリナロールを多く含み、妊娠中に芳香浴で用いても危険がないラベンダー、プチグレン、ベルガモットから、好みの精油を選んでもらい、単品あるいはブレンドして使用した。その結果、STAIによる特性不安得点が妊娠32週と36週の時点の群間比較でアロマセラピー群が有意に低く、不安軽減の効果がみられた(P<0.05)。またVASで測定したリラックス効果は、妊娠32週の群間比較でアロマセラピー群にリラックス効果があり(p<0.05)、またアロマセラピー群の群内比較に有意差がみられ、(p<0.016)量反応が認められた。自律神経系や分娩の結果には有意差はなく、これらの影響については、さらに対象者を増やして検討する必要がある。
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