生殖期年齢にある女性(20〜40代)を対象とし、月経周期ならびに月経随伴症状と喫煙行動の関連性について検討するため、大規模調査を実施した。 国内外の研究動向を把握するために文献検討を行い、喫煙女性に有用な禁煙支援への示唆及び課題を明確にした。平成19年度実施した予備調査の結果を踏まえ、大規模調査用質問票を作成した。 平成20年5月8日、大阪大学医学部保健学倫理委員会にて承認を得、7月1日〜21年3月末日まで調査を実施した。調査票は、4080部配布し、そのうち該当世代以外の女性・月経の無い女性・低容量ピルを内服している女性916名を除く3164名のうち完全回答であった2891名のデータを分析対象者とした。調査の対象者は、20〜40代の女性、喫煙群(現在、喫煙習慣がある)、禁煙群(以前喫煙していたが、1ヶ月以上禁煙に成功している)非喫煙群(過去に一度も喫煙習慣がない)の3群それぞれに調査を行った。 喫煙による月経周期・月経随伴症状への影響を検討し、喫煙行動に交絡すると報告されている要因の影響力や因果関係の検討さらに月経周期・月経随伴症状の影響力について、統計解析を行った結果、月経周期ならびに月経随伴症状が喫煙行動を助長し、心理的依存度を強めている可能性が示唆された。さらに、20代〜40代の世代間で特徴的な結果が得られた。20年度調査の結果から、喫煙行動を助長し、禁煙達成を妨げる要因として月経周期・月経随伴症状に焦点化した喫煙者さらに禁煙開始者に前向き観察研究・コホート研究を世代別に実施する意義を見出した。
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