研究1. (パイロットスタディ):4月~8月 所属大学の生命倫理委員会で研究実施の承認を得て、女性喫煙者の喫煙行動と喫煙量の月経周期による変動の実態を明らかにすることを目的に、月経周期ならびに月経随伴症状と体重、デイリーイベント、ストレス量の測定を自己記録することを対象者に依頼し、自然観察研究を実施した。喫煙量の評価は日々の喫煙本数で評価した。調査で得られたデータは統計学的手法を用いて分析し、月経周期に伴う喫煙量の変化、喫煙行動に影響を与えた交絡要因についての評価を行った。 研究2.(本調査):9月~12月 パイロットスタディで得られた結果から、自然喫煙状況下で喫煙量に影響すると考えられた精神的健康の評価としてCES-D尺度(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)を月経周期の卵胞期・月経中・黄体期に記入することを追加した。日々の喫煙量の客観指標評価として毎日の一酸化炭素濃度測定を追加した。さらにVAS(Visual analogue scale)を使用し、日々の喫煙に対する渇望を把握した。対象者は20~25歳までの喫煙歴5年以上、1日の喫煙本数10本以上の女性25名を対象に実施した。 研究3. (禁煙介入)2月~3月(平成22年度へ継続) 20年度実施した、大規模調査と21年度研究2.の結果を反映し、禁煙を希望する女性喫煙者を対象者とし、禁煙開始から基礎体温表・月経随伴症状・ニコチン依存症状ならびに渇望度そして、再煙の影響要因として報告されている飲酒や精神的健康度・ストレスについて客観指標を用いて評価し再煙の要因を明らかにするため禁煙介入を実施中。喫煙が及ぼす生殖期への影響として、月経周期異常や月経随伴症状に健康被害をもたらすことが20年度の調査で示唆され、さらに喫煙行動は月経随伴症状に対する潜在的な対処行動として喫煙量を調整している可能性が示唆された。さらに、月経周期と月経随伴症状を考慮に入れた禁煙支援の有用性について明らかにする。
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