研究1.(介入研究準備期間):4~7月 所属大学の生命倫理委員会で研究実施の承認を得て、卵胞期と黄体期に禁煙支援を試み、喫煙渇望度と体重の経日的変化、各月経周期ごとの随伴症状と精神的健康度を追跡し、性周期に伴う女性の再煙誘発要因を明らかにすることを目的に、研究準備を行った。 対象者のリクルートを行い、21年度の性周期に伴う喫煙量の変化についての観察研究から得られた研究結果を基に、月経周期ならびに月経随伴症状、体重、喫煙渇望度の日々の自己記録表により、再煙の要因を明らかにするためのプログラムを作成した。 研究2.(介入研究実施機関):8~2月 研究へ同意が得られた、25~38日周期の月経周期をもち、排卵があり、1周期毎に3~7日間の月経が1年以上規則的にあること、低容量ピルやその他の慢性疾患の治療に関する内服を行っていないこと、妊娠および授乳中でないこと、精神疾患の既往歴がないこと、過去1年以上、日々の喫煙本数が10本以上の喫煙習慣があり、禁煙を希望する女性29名の女性を対象とした。被験者は禁煙開始日を卵胞期もしくは黄体期のいずれかを選択し禁煙開始から月経3周期分の毎日基礎体温・体重・喫煙に対する日々の渇望度(ビジュアル・アナログ・スケール)を記録した。個別に、専用メールを用いて月経随伴症状と喫煙渇望に対する対処行動や禁煙に対する支援を実施した。禁煙評価は、禁煙開始3日後、1週間後、1か月、3か月後に、一酸化炭素濃度と尿中コチニン量を測定し再煙の有無を確認した。青年期前期の女性は黄体期に有意に喫煙渇望度が増強し喫煙量が増加する傾向にあり、卵胞期と比較し黄体期に再煙率が高い傾向はあるが統計学的に有意な差は示されなかった。さらに男性喫煙者を対象に報告されているニコチン依存度や喫煙年数、喫煙渇望度も禁煙群と再煙群で有意な差が示されず、月経随伴症状の強い、精神的健康度の低い女性の再煙率が高くなる結果が示された。青年期前期の女性の禁煙支援ならびに再煙防止のために、月経随伴症状、精神的健康度を考慮に入れた支援の重要性を明らかにした。
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