本研究の目的は、在宅で生活する重症心身障害児とその介護者を対象とし、障害児の睡眠障害の頻度および特徴と介護者の睡眠問題と負担感を明らかにすることである。本年度は、昨年度実施した質問紙調査の分析を行った。対象は肢体不自由児通園施設に通園する子どもの保護者27名、特別支援学校に通学する子どもの保護者138名、A病院にリハビリ通院する子どもの保護者200名であった。調査項目は、障害児の背景と睡眠に関する事項である。睡眠の問題の有無は、(1)「入眠に1時間以上かかる入眠障害」(2)「1週間に3回以上の夜間の中途覚醒」(3)「朝5時前に起床する早期覚醒」のうち、いずれか1つ以上を認める場合に睡眠の問題があると判定した。回答が得られたのは114人(31.2%)であった。障害児の疾患名は、脳性麻痺が63人(55.3%)と最も多く、次いで、てんかん40人(35.1%)、染色体異常12人(10.5%)であった。睡眠の問題を認めた障害児は35人(30.7%)であった。障害児の属性で有意差を認めた項目は、障害児の体重、てんかんの合併、コミュニケーション能力が乏しい、座位が保持できない等であった。睡眠の問題のある児では、「ちょっとした物音や処置で目を覚ます」「眠ると呼吸が浅くなる」「寝ているときに口を開けている」「汗をかく」「朝起きると口が渇いている」等が有意に多く認められた。障害児の睡眠の問題の頻度は高率であり、コミュニケーション能力が乏しく、運動障害も高度な障害児ほど睡眠の問題の多い児が多かった。障害児においても、睡眠中の中途覚醒や口呼吸、発汗などは、睡眠障害の予測因子であることが示唆された。現在、客観的睡眠観察調査を続行中である。
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