研究概要 |
【目的】本研究は、腰痛をもつスタッフの日勤帯・夜勤帯別のケア実施状況に着目した高齢者施設における腰痛発生リスクの高いおむつ交換の実態を明らかにする. 【方法】1. 対象 : 高齢者施設32施設において日・夜勤帯両方に勤務し、最近1ヶ月に腰痛をもつ同意が得られたケアスタッフ708人. 2. データ収集方法 : 質問紙調査を行った. 調査項目は、(1) 属性、(2) 日・夜勤帯の腰痛の程度(Visual Analog Scale)とケア回数、(3) ケア実施時の腰痛の程度(5段階リッカート尺度)、(4) 腰痛を感じたときの環境と利用者の状態とした. 【結果】1. 属性 : 有効回答は659人(93.1%). 平均年齢は40.5±12.1歳、性別は女性588人(89.2%)、男性71人(10.8%). 職種は介護福祉±247人(37.5%)、看護師127人(19.3%)、ヘルパー123人(18.7%)の順で多かった. 2. 日・夜勤帯の腰痛の程度とケア回数 : 腰痛の程度は、日勤帯5.1±2,5点、夜勤帯6.9±2.6点と夜勤帯の方が高かった(P<.001). おむつ交換回数は、日勤帯は1〜10回が約40%、夜勤帯は31回以上が約40%を占めた.3. ケア実施時の腰痛の程度は、おむつ交換(2.5±1.0点)と特浴介助(2.4±1.0点)が、移乗介助・一般浴介助・体位変換より高かった(P<.001). 4. 腰痛を感じたときの環境と利用者の状態 : ベッドの高さが低いと約6割が答え、利用者の状態に違いがあるとした約8割の主な内容は、「体格差」、「寝たきり尾」、「拘縮」、「協力が得られにくい」、「弛緩や緊張などの身体的反応」であった. 【考察】日勤帯・夜勤帯によるスタッフ数やケア内容の変化、および環境や利用者の身体・精神の状態など、複雑に絡み合う腰痛発生リスクへの対策が腰痛予防につながることが示唆された。
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