【目的】本研究は、臨床における腰痛発生リスクの高いおむつ交換の実態を明らかにすること及び臨床応用による腰部負担を軽減するおむつ交換技術の有用性を検証することを目的とする。平成20年度は、腰痛発生リスクの高いおむつ交換には、夜勤帯のケア回数の増加、ベッドの低さ、利用者の体格差・拘縮などが影響することを明らかにした。さらに平成21年度は、高齢者施設における看護・介護管理者のスタッフの職業性腰痛に対する問題意識及び組織的な腰痛予防対策を明らかにする。 【方法】対象は、北陸3県にある医療・介護療養病床、介護老人保健施設、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の看護・介護スタッフの管理者29人である。方法は、構造化面接調査を行い、職業性腰痛に対する問題意識の有無とその内容、腰痛予防教育の実施の有無とその内容、腰痛保護ベルトの紹介実施の有無とその方法について、記述的に分析した。また施設が所有している移乗支援機器やベッドの種類と台数は、量的に施設別で記述的に分析した。 【結果】どの施設における管理者であっても80%以上が職業性腰痛に対する問題意識をもち、理由として「腰痛が原因で欠勤・離職につながる」が多かった。また対策として、腰痛予防教育は約50%以上の割合で行われていた。なお、腰痛保護ベルトの紹介は療養病床75%、老健28.6%、特養16.7%、電動で高さ調節できるベッドの総台数は療養病床32.9%、老健49.5%、特養85.3%と、施設による違いがみられた。 【考察】管理者が看護・介護スタッフの職業性腰痛を定期的に把握し、スタッフ個人ではなく組織的な腰痛予防対策につなげていくため、教育内容や移乗支援機器の活用など検証を深める必要性が示唆された。
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