研究の目的は、地域保健活動の再構築の視点をもったアウトソーシングに焦点を当て、地域保健活動に求められるものを明らかにすることである。平成20年度は、文献収集及び研修・学会の参加によりアウトソーシングと地域保健活動についての知識を得て理解を深めた。現状に合わせた意義ある調査を行うため、今年度は昨年度得た知識をもとにインタビューガイドを作成し、現場の保健師へインタビューを実施し、実際のアウトソーシングが及ぼした保健活動の影響を把握した。そして、現状をふまえた質問紙を作成するための検討・考察をおこなった。現状の保健活動において、特に、特定健診・特定保健指導についてのアウトソーシングについて、3年目ということもあり、軌道に乗り始めたが今なお課題があることが分かった。また、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)についての課題についても知ることができた。特に、アウトソーシング先に対して、実施前の調整のみではなく、継続的な精度管理、評価、調整等が必要であり、そのことに時間を要するため保健師の負担が以前より増大したこと、しかしその中で保健師はより良いものを作り上げていこうという姿勢など把握できた。また、アウトソーシング先が多岐にわたり、住民に対して均一で質の良いものを提供するための努力と今までの保健活動の見直しについて考える機会となっていることも知ることができた。今後、インタビューで得たものをいかして、焦点を絞った質問紙を作成し、調査市町村を検討し調査を実施する予定である。
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