研究概要 |
平成22年度は、三次救急病院内の訪問看護室に勤務している訪問看護師を対象に半構造化インタビューを実施した。訪問看護への依頼の経路は、入院中あるいは外来通院中の患者について、医師、社会福祉士、各病棟から訪問看護に来ている看護師、介護支援専門員などからであり、家族が直接、訪問看護室に来訪するケースもあった。利用者は、終末期、慢性期、呼吸不全のある人などであった。終末期の場合、訪問看護の利用期間は、長くても1,2カ月程度で、短いと1,2回で死亡のため終了となっていた。 終末期で1,2カ月間程継続訪問となったケースでは、病名は告知されていても、実際に予後のイメージがついていない家族や利用者もいるため、医師からの説明の内容や理解の程度について、訪問時にタイミングをみながら確認している。最期を在宅で迎えるのか、家族の負担も考慮しながら、利用者と家族の希望を聴いている。訪問看護師と院内の皮膚排泄ケア看護師や、緩和ケアチームの間でお互いに相談しやすい環境があった。また筋萎縮性側索硬化症などで経過の長い利用者の場合、ホームヘルパーが介護に入っているが、その人々と関係を築いていくことが家族の負担になることがあり、訪問時に家族の話を聴いている。一方、下半身麻痺のある利用者が、後遺症で足が動かないことを受け入れられないときなど、話を傾聴し受けとめていた。また、精神的な問題を併せ持つ利用者が気管切開をしていてその管理が必要であるが、家族も認知症があり在宅での対応が難しく、医師など他職種との緊密な連携が必要であったケースがあった。精神的なことで対応の困難な利用者に対して、訪問看護室での情報共有を密に行い、関わりをとりやすい看護師が訪問するなどの工夫をしていた。これらの結果から、訪問看護師のケア実践や院内外の他職種との連携などに関して、現状や課題、支援のあり方について多面的に考察を行った。
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