近年、中国、ブラジル、韓国などの外国人住民が我が国に移住を始めている。現在は生産年齢人口である外国人住民は少なくとも20年から30年後には、移住した先である日本国内で高齢期を迎える事が予測される。長期における外国生活により、母国の基盤をなくした外国人住民が、外国である日本で老後を迎えることも、すでに非現実的な話ではないと思われる。その中で、先住外国人である在日コリアン高齢者は、日本社会の中で長期間定住し、高齢期を迎えている。在日コリアン高齢者は、日本人と比較し、家族への介護負担が大きい、言語、文化背景の違いによる保健指導の困難、低い識字率のため保健サービスへのアクセスが困難であるなどの問題があり、これらを検討することは今後増加が予想される外国人高齢者問題を考察する上で、重大な示唆を与えると考えられる。 そこで、本研究では、在日コリアン高齢者の社会的機会(社会保障の給付及び過去の就職の機会)、経済、生活習慣、生活の質と余暇活動、家族関係の実態を明らかにし、在日コリアン高齢者への看護支援モデルの構築を行うことを目的とした。 そのため、通所介護施設で介護サービスを受けている在日コリアン高齢者に対し、社会保障の有無、経済的基盤、居住環境、生活習慣、生活状況と健康との関連を検討し、データベースを作成した。今年度は、社会的機会(社会保障の給付及び過去の就職の機会)、経済、生活習慣、生活の質と余暇活動、家族関係に加え、ソーシャルサポートの享受とその種類、家族サポートとその状況、および社会的・身体的健康と生活の質の関連を加え検討した。
|