本研究では、在日コリアン高齢者の社会的機会(社会保障の給付及び過去の就職の機会)、経済状況、生活の質と余暇の活動状況などを明らかにし、在日コリアン高齢者への看護支援の方法を検討するものである。1年目は、通所介護施設で介護サービスを受けている在日コリアン高齢者に対し、社会保障の有無、経済的基盤状況、居住環境、生活習慣、生活状況と健康との関連を検討し、データベースを作成した。2年目は、データーベースをもとに、社会的機会(社会保障の給付及び過去の就職の機会)、経済、生活習慣、生活の質と余暇活動、家族関係に加え、ソーシャルサポートの享受とその種類、家族サポートとその状況、および社会的・身体的健康と生活の質の関連を加え、調査票の作成を行った。本研究は中部地区を対象としているため、第1次調査として中部地区に在住している、65歳以上の在宅の在日コリアン高齢者を対象として調査をおこない、対象者はスノーボール抽出法(snow-ball method)を使用し抽出した。抽出した対象者に対し、調査方法のトレーニングを受けたバイリンガルの調査員による個別訪問調査を行った。結果は、現在入力作業を進めており、記入もれや論理エラーを含むケースを除いた有効回答率を計算中である。これら回答者の中から、データについてはクリーニングを終了次第、パネルデータとしての分析を進める予定である。また、健康上に問題のあるケースと健康上の問題のないケースとに層化した上で、質的なインタビューを検討しているところである。
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