1. 質問紙の作成 【DAI-10 for kids】DAI-10の原本(英語)を5人の成人(児童精神看護師、精神科看護師、作業療法士、看講学生、米国留学生)それぞれで、子どもでもわかるような表現に和訳し、日本語版DAI-10とも比較しながら試案を作成。その試案を児童思春期精神科外来に受診している小学2年女児、小学5年男児の2名(2名とも服薬はしていない)に見せ、研究者がDAI-10を用いて聞こうとしている内容と文章表現がマッチしているか、どのような表現が良いかをその2名に確認しながら内容を修正し、DAI-10 for kidsを作成した。【母親用質問紙】既存の日本語版DAI-10の主語を「子どもは〜」に変更して母親に子どものDAI-16を評価してもらうための10項目と、精神科や精神科の薬に対する不安や抵抗、家族の理解や支援についての思いなどを問う8項目。これに家族構成や受診歴などを問う項目を付し、母親用の質問紙を作成した。 2. 専門家へのインタビュー 児童思春期精神科病棟への視察を行い、入院患児に対する処方の状況や確定診断の困難さ、早期介入の必要性や需要などが明らかになった. また海外の早期介入研究の文献レビューより、10代前半からの早期発見、早期支援の必要性が明らかとなった。これらを踏まえ、アドヒアランスの介入研究を行っている研究者との研究打ちあわせの結果、調査対象の年齢を、18歳未満から小4〜中3に変更し、対象数は20〜40組程度とした。 3.今後の展開 DAI-10 for kidsの妥当性の検討について、相反する10項目を追加して行う予定であったが、児の集中力や確実なデータ収集のため、質問紙を用いての聞き取り調査を行うことに変更した。看護師が行う子どもための心理教育プログラム作成において、児や親の個別性に応じたプログラムが求められるため、この聞き取りを通してケースに応じて修正が可能なプログラム作成の基盤とする。また次年度では、今年度作成した質問紙と妥当性を検討するための尺度を用いてデータ収集と分析を行う。
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