1.心理教育用教材作成 精神科外来にて抗うつ薬による薬物療法を受けている子どもに聞き取りを行い、向精神薬の初回処方時の状況における子どもの戸惑いや想い、また、そのときに患児は何ができたのか…という内容のマンガ教材を8ページ作成した。また、21年度調査時に明らかになった、薬物療法に対する子どもの疑問などについても教材の中に取り入れた。予算の関係上、今回はマンガ教材作成のみに留め追加作成していく予定。心理教育に効果的なマンガに関してはアニメーション化していくことも今後検討していく。 2.心理教育用プログラム作成 「グループの仲間について知る」「薬や治療に興味・疑問を持ち、主体的に動いてみる」「薬を飲む意味づけができる、症状や薬の作用副作用を知る」「服薬管理について責任を持ち、管理の仕方を学び家旗の協力を得る」「振り返りとまとめ」という内容の全5回の心理教育プログラムを作成した。年齢や疾患などを考慮してグループを作成し、今後実施・評価・修正を行っていく予定。 3.母子間のアドヒアランスの関連と心理教育の現状と課題について検討 H21年度に行った調査結果から、児童思春期精神科外来における母子のアドヒアランスに影響を与える要因と心理教育の現状と課題について検討した。子どものアドヒアランスは「薬剤名や服薬理由に関する子どもの理解」「医療者から子どもへの薬についての説明」「受診してから子どもの騒擾は改善したという母親の認識」と関連しており、母親のアドヒアランスは「母親の精神科受診歴」「身近な向精神薬の服用者の存在」「受診してから子どもの騒擾は改善したという母親の認識」と関連していた。また、母親の自由記載欄には、病気を受容する難しさと薬に対する不信、病気や服薬・偏見に対する不安が多く記載されていた。子どもと母親の両方に対する心理教育が必要であり、母親と子どもに対しては別のプログラムが必要であることが示唆された。
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