本年は初年度である平成20年度に実施した調査の分析と来年度の調査にむけた文献レビューおよび準備を行った。この調査の目的は、メンタルヘルス問題による職場復帰に関する質問紙調査から、実際の支援過程を検討することである。北海道内の事業所におけるメンタルヘルス担当者(人事労務担当者)を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。データ収集期間は平成21年2~3月である。総括安全衛生管理者および人事労務担当者あてに文書にて研究依頼および無記名自記式質問紙を郵送し、回答を得た。 (1)メンタルヘルス問題への対策および職場復帰支援システムの整備状況、(2)休職から休職期間中、職場復帰後の職務の一連の過程に関わる支援、(3)事業所内外の資源の活用と連携、(4)企業内の保健事業サービスの活用などについての結果を得た。事業所における対策と職場復帰支援システムの整備状況では、多くが明文化されてはいないものの職場復帰に関する内規が存在しており、実際の支援として休職開始時期から職場復帰後のサポート、職務内容の配慮までの一連の過程を継続して支援している状況であった。事業所規模としては小規模事業所が多くを占め、その限られたマンパワーの中で休職者や復職者とかかわる上司、同僚との関係性を基盤とした支援活動において、支援者間と産業保健職の連携の充実、事業所外の資源の活用の状況について検討した。
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