筆者は当事者の視点に立っだ社会参加の支援のあり方を明らかにするという研究構想の下、3年以上地域で生活している当事者7名を対象に発症、精神科病院退院から現在の生活に至るまでの過程における主観的体験を明らかにする研究に取り組んだ。 研究かち、当事者の社会参加過程は、【自由への戸惑い】【自己喪失感の実感】【仲間の存在】【社会環境への慣れ、】【人への慣れ】【生活の確立】【自分自身の実感】【生きがいの発見】という段階があると考えられた。当事者は複数の心情を抱えた状態で生活を送る中で、安定した地域生活を送るために自分を肯定的に位置づけ、安定性と肯定性の保障することのできる心情を優先させながら、自己一貫性を獲得していく過程と考えられた。 一方、社会参加過程において感じている「生活のしづらさ」は、自己の喪失感、自己表現の喪失、内なる偏見の存在の3点と考えられた。この3点は精神疾患に由来するというより、自己否定的な自己概念に由来するともの考えられた。・つまり、当事者の感じている「生活のしづらさ」は、自分が自分を苦しめているという図式であることが示唆された。 対象者の過程において、ピアサーポートによる有力化、感情・活動の誘発、自分自身を表現・説明する、他者による承認の4点が肯定的な意味づけを付与したと考えられる。よって、支援のあり方は、具体的な体験を通じて「地域社会」に慣れること、日常の生活を通じて「人」に慣れること、自己表現・他者評価により自己肯定的な感情をもつこと、3点が示唆された。
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