神奈川県内A病院及びY病院における総合内科初診の成人(20歳以上)94名に質問紙調査を実施した。調査期間は平成21年2月〜3月で、質問紙の回収は85名からであった(回収率90%)。回答者の概要は、性別は男性42名(49%)、女性43名(51%)、年齢は60〜69歳が最も多く26名(30.6%)で、平均年齢は57.1歳(SD±14.5)であった。職業は主婦が25名(29.4%)と最も多かった。自身でストレスを自覚している者は71%に及んだが、他者にストレスを指摘されていた者は32%であり、自覚と他覚にギャップがあることが示された。また過去半年間に何らかのライフイベントを経験している者は65%であった。47名(55%)に睡眠障害がみられ、それが週5日以上生じている者は40%近くに及んだが、それらの問題に対し66%の者は何も対処をしていなかった。精神科受診に対する抵抗感では60%以上の者が抵抗を感じているが、抵抗感の有無に係らず必要があれば受診すると回答した者は90%近くに及んだ。BDI-IIによる抑うつ度の判定では、正常範囲が33名(38.8%)、軽いうつ状態が24名(28.2%)、臨床的な意味でのうつ状態との境界レベルが10名(11.8%)、中等度のうつが7名(8.2%)重いうつが2名(2.4%)であった。精神科への相談が望まれるレベル(17点以上)の者が22.4%であり、軽いうつ状態と合わせると半数(50.6%)の者に抑うつがみられるという結果であった。抑うつの有無と各変数で検定を行ったところ、有意差がみられたのは"ストレスの自覚の有無""ライフイベントの有無""睡眠障害の有無"であった。これらの結果から、うつ病スクリーニングの知識や受診者全員にスクリーニングを実施する時間のない一般診療科看護師が活用出来るようなOverall Questionを検討するための示唆を得た。
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