本研究は、自死遺族が身内を目殺で亡くした苦しみを克服するために、どのような支援が必要か検討し、上越地域において先駆的な自助グループを構築することである。 自死遺族へのケアは、その特殊性ゆえに情報が入りにくいという点、援助者自身も介入しにくい点が特徴としてある。そのため、まずはネットワーク作りに重点を置いた。平成20年度は主にフィールドリサーチを通して、NPO法人ライフリンクや新潟県の自助グループ「虹の会」とのネットワークを作り、上越地域において自助グループを構築していくための土台作りを行った。 自死遺族へのインタビューを通しては、自死遺族の感情として、後悔の念がある一方で、なぜ自殺したのかという疑問や自殺者に対する憎しみの感情も交じっていることが明らかとなった。しかし自死遺族はこれらの思いを表出する相手や機会がなく、誰にも話せずに自分一人で苦しむという状況があり、これらの苦しみを軽減するには、自死遺族が共に分かち合い、安心して語れる場が必要であると考えられた。 これらを踏まえ、今後はさらにフィールドリサーチを進め、現在活動をしている他の自助グループの状況を把握したうえで、自死遺族が安心して語れるための場の要素を見出し、自死遺族が安心して語れる自助グループ活動を構築していくことを目標としている。
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