本研究は、自死遺族が身内を自殺で亡くした苦しみを克服するために、どのような支援が必要かを検討し、上越地域において先駆的な自死遺族支援グループを構築し、活動を継続していくことを目的としている。 これまでのフィールドリサーチを通して、全国各地で実施されている自死遺族ケアには、主に自助グループと自死遺族支援グループがあり、それぞれの目的や役割を照らし合わせると、上越地域において我々が構築していくのは自死遺族支援グループが妥当であるとの考えに至った。それを踏まえ、これまでのフィールドリサーチやネットワークの構築を土台としながら、平成22年3月に上越地域において、自死遺族支援グループ「はじめの会」を立ち上げ、現在まで活動を続けている。主な活動内容は、自死遺族を対象とした定例会や電話相談、個別面談のほかに、自死遺族に対する正しい理解の普及を目的に一般市民を対象とした講演会も実施した。自死遺族支援グループのスタッフは看護職で構成され、定例会時にプレミーティング、アフターミーティングを実施し、個別事例の支援策の検討、会の運営の話し合いや活動の振り返り、今後の課題の抽出を行った。課題については、設立当初にあげられた課題である会の存在をいかに伝えていくかということに関しては、新潟県内でネットワークを構築しながら、繰り返し新聞やテレビなどのメディアに取り上げてもらい、少しずつであるが地域に浸透してきた。また、現在の課題として継続的な参加があげられた。上越という地域性や都市の規模から、身近な場所への参加のし辛さがあり、これに対しては電話相談にも重点を置くことと、個別対応の必要性が確認され実施してきた。今後は継続的に参加するための要件や具体的な支援策を検討していくことが必要となる。 これまでの活動状況及び抽出された今後の課題はまとめて発表していく予定である。
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