研究概要 |
本研究は、地域で暮らす高齢者のための専門職と地域住民による認知症予防実践モデル」(以下、認知症予防協働モデル)の試案を作成し、認知症予防事業を展開のうえで、活用可能性を評価する。その認知症予防協働モデル試案作成にあたり、地域住民を中心にした認知症に関するボランティア活動(以下、活動)の意義と、活動を行っていく際のニーズを捉えるアンケート調査を実施した。調査対象は都市部で認知症の普及啓発・予防・支えの活動を展開するA地区B団体の会員(117人)で、62人から回答があった(回収率53%)。基本属性では男性が8名(12.9%)、年代では60歳代が24人(38.7%)50歳代と70歳代が各13人(21%)であった。活動をはじめた理由で最も多かったのは、「認知症の人に優しい地域づくりに参加したかったから」38人(61.3%)であった。活動は、あなた自身にとって役立ったと思いますか?の問いには、38人(61,3%)が肯定的回答であった。自分にとって役だったと思う理由は「認知症の知識の増加」と「対応する力がついた」の記載が多く、「家族の気持ちの理解」「地域連帯感」「仲間ができた」「人間的成長」等もあった。活動を行っていく際の行政職へのニーズとしては、「住民との協力姿勢」に関する内容が多く、具体的には、連絡を密にする、相談にのってもらう、職員の移動による継続困難の解消などであった。その他、「認知症関連施策・しくみづくり」や「活動への経済的サポート」のニーズも挙げられた。 よって、認知症予防協働モデルには、地域づくりの視点を強化する。また、専門職者は、認知症や認知症の人への関わりについて伝えることを基本としつつも、知識提供の役割のみならず住民の活動に対する協力姿勢が伝わるよう接していくことが重要であり、援助指針の一部に位置づける必要がある。
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