地域で暮らす高齢者のための専門職と地域住民による認知症予防教室(全10回)を行ったA自治体において専門職・住民ボランティア・参加者それぞれにインタビューを行い、教室実施後の振り返りから今後このモデルを実施していく上でそれぞれの立場で重要となる事柄に関して抽出し要旨をまとめた。 専門職は、保健師と社会福祉士の各1名である。多くの住民に認知症の正しい知識を啓発し、地域で予防活動をやりたい思いがある人達の自主的な活動の芽が出るタイミングを逃さないことが重要であった。その上で、教室の必要性、各回の目的と流れのポイントを話し、なるべく自分達で取り組んでもらえるよう、ボランティアが介入しすぎないように働きかけていた。また、事故防止に務めつつ教室がうまくいくような意見を取り入れ、お互い交流が深まる工夫、自主化につなげる話合いの場を持つ工夫をしていた。 ボランティアは、予防教室中心に関わった2名から、開始時のポイントとして、専門職と目的や将来的な方向性を共有する、携わるボランティアにボランティア心得講座をすることが挙げられた。開催中は、参加者の顔と名前を覚え、声かけ気配りなどを心がけ参加者が楽しいと思えるように努力していた。ボランティア同士の連絡を密に取り、専門職に聞く姿勢をもって一緒に作る意識をもつことが協働の鍵となっていた。また、経験を積むことで上手くできる自信がついていた。教室後の自主グループに関わっている2名は、自主化後は会員との信頼関係が第一であり、声かけ気配りなどを心がけプライドを傷つけない対応をし、楽しく継続することの重要性が述べられた。また、会員の力の発揮を促すために何をどこまで頼むかを考えていた。専門職には、専門家としての講話で間に刺激してほしいという要望をもっていた。 参加者10名(5名ずつ2回)からは、自主化後は和気あいあいとした交流の場になっており、発展させていくには、ボランティアに感謝しつつ、もっと自ら積極的に発言していくことが重要だと語られた。
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