研究概要 |
現在, 乾癬患者は日本全国に約10〜30万人と推測され、疫学調査によると、患者数は年々増加傾向にある。医療機関では様々な対処療法が行われているが、根本的に完治する治療法はない。また、発症年齢が15歳〜35歳と若い世代が多いため、学業、仕事、人間関係、治療に伴う時間と経費等に関する問題が乾癬患者のQOLを著しく低下させている。しかし、入院が必要な重症患者を除き、乾癬患者は1ヶ月〜数ヶ月毎に身体症状の変化によって投薬、治療を受けるのみで、心理的・精神的・社会的問題に対応した医療機関からの十分なサポートが得られていない現状がある。本研究では、乾癬患者のQOLを低下させる社会生活上の問題を明らかにし、医療機関及び、患者自らがセルフケア活動を充実させることができる乾癬患者用プロトコールの作成を行う。平成20年度はまず、乾癬患者の社会生活上の問題について、手記、ウェブサイト、学術雑誌より抽出し、問題内容の分類を行った言を受け、修正を加え、数名の乾癬患者に予備調査を行った。その結果をもとに社会生活上の問題とその対処法についてのアンケートを作成し、専門家(医師、看講師、研究者)の助言を受け、修正を加え、数名の乾癬患者に予備調杳を行った。予備調査の結果、乾癬愚者は診療の場では治療法以外の悩みについては語ることが少ないということが明らかとなった。予備調査に参加した乾癬患者の意見より、"医療機関に求めるもの"などの項目を追加しこアンケートを完成させた。また、客観的指標としての測定ツールの使用を先行研究から検討し、皮疹の評価にSAPASIを、QOLの評価にPDIを使用することとした。平成21年度は、アンケート調査、面接調査を実施し、その結果を乾癬患者に公開ずる。公開後、乾癬患者、医療者と共に、心理的・精神的・社会的問題に対応したサポートの実施に向け、プロトコールの作成を行う。
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