平成21年度は、回想法実践能力を示す段階別レベル指標作成のための資料を得ること、そして、回想法実践能力向上に影響を与える要因を明らかにすることを目的として行った。グループ回想法を1クール(8回)以上実施したことがあり、回想法研修会の講師をした経験がある者を対象にして、グループインタビューを行った。グループインタビューは選定条件を満たす11人から協力を得た。対象者の年齢は20歳代2人、30歳代2人、40歳代1人、50歳代2人、60歳代4人であった。性別は女性8人、男性3人、職種は看護職2人、介護職9人であった。カテゴリとして【回想法に関心を高めるように伝達できるようになったこと】、【回想法の実施方法について正しく伝達できるようになったこと】、【回想法を円滑に実施できるようになったこと】、【回想法の価値を継続的に理解するようになったこと】、【高齢者ケア実践能力が向上したと実感していること】、【回想法実施者の意欲を高める方法が分かるようになったこと】、【回想法を正しく伝達することの難しさを実感していること】、【参加高齢者に適した実施方法を選択することの難しさを実感していること】、【効果の把握と高齢者ケアへの活用の難しさを実感していること】の9点が抽出された。回想法実践の場でできるようになってきたことともに、回想法の難しさを実感できるようになったことは、適切な回想法実践や正しい回想法の理解につながっていると考えられる。さらに分析を具体的に進めることによって、回想法実践能力指標作成につながる示唆が得られると考える。
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