本年度は、前年度作成した調査票を用いて、全国の訪問看護ステーションの訪問看護師、及び訪問看護ステーションを利用されて看取られたご遺族を対象に郵送調査を行った。調査対象の撰定方法は、まずWAMNETに登録されている全国5566か所の訪問看護ステーションから、在宅ターミナルケアに必要条件とされている24時間連絡体制加算・特別管理体制対応可能なステーションである条件を加え抽出された2485施設のうち、無作為抽出法により抽出された500施設を調査対象とした。500施設の管理者に封書を用いて、研究対象事例(癌でお亡くなりになられた事例)の有無と本研究への調査協力の打診を実施し、返信・協力の同意が得られた68施設には、改めで調査票(訪問看護師用123事例分、ご遺族用83事例分)を郵送した。その結果、訪問看護師から90事例分(73.2%)、ご貴族から48事例分(57.8%)の返信がり、有効回答率は、訪問看護師からの82事例(66.7%)、ご遺族からの42事例(50.6%)であった。事例の性別は、男性45名(54.9%)、女性37名(45.1%)、年齢は70歳代が30名(37.0%)で最も多く、次いで80歳代23名(28.4%)であった。初回訪問看護時の事例の日常生活自立度は、B2(介助により車いすに移乗できるレベル)が17名(21.8%)と最も多く、認知症のある事例は38名(48.7%)であった。事例の世帯類型は、2世帯での同居が31名(39.7%)と最も多く、主介護者は、配偶者が34名(43.0%)で最も多く、次いで娘20名(25.3%)であった。訪問看護師の訪問期間は、平均75.82日±71.10であり、看取りの場所については、自宅57名(71.2%)、病院22名(27.5%)、施設1名(1.2%)の順であった。来年度は、病院から在宅ターミナルケアへの移行期における訪問看護師の施設間連携の実施状況と遺族の評価をもとに、詳細な分析を実施予定である。
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