研究概要 |
本研究では, 高齢者の閉じこもりによる死亡や状態悪化を解明するため, 経時的な繰り返し調査を実施する. 本研究の初年度である平成20年度は, 福岡県大川市に在住する要介護認定をうけていない65歳以上の高齢者3, 054人を無作為に抽出し, ベースライン調査を実施した. 現在は, 対象に送付した調査票を回収中(2月26日現在. 回収率は65. 5%)である. なお, 平成20年度の具体的な研究実績は以下のとおりである. 1. 調査票の作成においては, 調査地域の踏査を十分に行えたため, 地域特性に沿った調査票の作成ができた. また, 国内外の先行研究および文献などを参考に, 研究協力自治体との協議の結果, 洗練された調査項目の作成ができた. 2. 研究のプロセスで生じる倫理的な問題に関しては, 本学の倫理委員会の審査を受け承認を得た. 本研究の今後の展開として, 平成21年度の計画は, 調査に同意が得られた対象者のデータをあらゆる統計手法を駆使して, 閉じこもり高齢者の生活習慣や生活環境, 生活圏域などの特徴を確認することである. そして, 日照時間や気温, 湿度の違いによる高齢者の外出状況を検討するため, 同意が得られた対象を無作為に2つのグループにわけて追跡調査を行う. 平成21年度の調査は, 平成21年10月と平成22年1月の別々の時期に調査を行う. さらに, 平成22年度には, 平成21年10月に調査したグループには平成23年1月に調査を行い22年1月に調査したグループには22年10月に調査を行い, 比較検討を行う予定である. 最終的には, 対象者の死亡や要介護状態などを確認し, 高齢者の閉じこもりによる死亡や状態悪化要因を解明して, 介護予防事業に新たな知見を与えることである.
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