研究概要 |
本研究では閉じこもりによる要支援・要介護認定リスクなどを探索するために、要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者1,919人を対象に2008年11月30日を起点に2011年1月31日までの792日間を追跡した。調査対象となった自治体は、九州地方にある総面積34km^2、標高海抜4mで管内の起伏はほとんどない平地の地域である。データ解析には、比例ハザードモデル、ランダムサバイバルフォレストなどを適用した。 その結果、要支援・要介護認定の発生に関連する重要な要因には、年齢、視力の状況(人の顔がよく見えない)、家の中の役割数、外出頻度、家族構成などが上位に選ばれた。特に年齢は82歳以上で加齢とともに、家の中の役割数においては3個より少なくなればなるほど、要支援・要介護認定の発生が高くなることがわかった。 外出頻度に関しては、少なくとも5日に1回は外出している者に対し、それより少ない者は4.19倍要支援・要介護認定を受けやすいことが示唆された。また、追跡日数が長くなるにつれて「5日に1回以上外出している者」のほうが「それより少ない者」よりも要支援・要介護認定を受けていない日数が長くなっていることが明らかになった。 家族構成においては、1人暮らしの者のほうが、それ以外の者と比べて要支援・要介護認定を受けやすいことが示された。これは、前述した家の中の役割数と併せて考えると矛盾する結果になった。恐らく1人暮らしには、今回の調査では把握できていないもっと別の要支援・要介護認定を受ける要因があることが推察された。
|