研究概要 |
野生ミナミハンドウイルカにおける呼吸同調の詳細分析を行い、同調呼吸は親和的社会行動の一部であることを示した。このことは、同調呼吸を指標に社会関係を分析できることを示す。オトナやワカモノでは同性・同成長段階の個体同士が、また、母子ペアやエスコートとコドモのペアが、頻繁に呼吸同調を行った。呼吸同調時の個体間距離は母子ペアにおいて最も小さく、メスペアの方がオスペアよりも小さかった。これらの結果はペアスイム中の個体間距離"パーソナルスペース"がペアの組み合わせによって異なることを示唆した。呼吸同調を行う2個体の呼気の時間差は、メスペアの方がオスペアより小さく、オトナペアの方がワカモノペアよりも小さかった。得られた成果を科学雑誌に投稿し、受理された。 野生コシャチイルカへの動物搭載型記録計(データロガー)の装着の試みに対する反応を評価した。その結果、ネガティブな反応が少なく、データロガーによる本種の水中行動の記録が可能であることを示唆した。この結果を科学雑誌へ投稿した。 コビレゴンドウにデータロガーを装着し、得られたデータから、遊泳速度、呼吸行動、2種の泳法を抽出できることを示した。この結果を、UTBLS : Bio-Logging Science, University of Tokyoバイオロギングワークショップにてポスター発表した。 揚子江スナメリ6個体に装着したデータロガーから得られた深度データを用いて、15通りのペアのうち、2ペアにおいて同調潜水が有意に多いことを発見した。このことは、深度データのみから、水中観察不可能な種の社会関係を調査できることを示す。この成果を、日本水産学会にて口頭発表した。 飼育イロワケイルカを対象に、水中観察窓より、同調・接触行動の目視観察及びビデオ撮影を行った。今後、他種との比較を行う予定である。
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